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岡山の水辺を面白くしているひと、面白がっているひと、みんな集まれ!水辺をCoolにする方法を持ち寄ろう。

「岡⼭しろうちPUBLIC Meeting」と共同で、マチナカの⽔辺をフカボリするトークイベントを旭川のほとりにある石山公園で開催しました。第1部は、「岡山らしい水辺活用」について、日本全国の水辺を楽しくしてきた水辺総研の岩本唯史さんをゲストに「しろうちアライアンス」代表理事の久山信太郎さんとクロストークを繰り広げました。

第1部のまとめ記事はこちらの記事にてチェックしてください◎

岡山の市街地が水都であることを再確認。世界中のグッドな事例を岡山に当てはめ、水辺を盛り上げることで岡山そのものが魅力的になる絵が見えてきました。

第1部、岩本さんのコメントで印象的だったのは以下のこと。

岩本さん「水辺といえばと言われて簡単に想像できることは岡山の水辺であらかた行われている印象です。岡山の水辺だからこそできることをやらなきゃいけないんじゃないかなと思う。またそれが、『誰のための水辺なのか』を考えたいところですね。

水辺って公共なんですけど、公共だからといって、「みんな」という不明確な対象のための最小公倍数的な水辺と捉える必要はなく、岡山市民も観光客も、それぞれが岡山の水辺を『私の水辺』って思える水辺を見てみたい。」

岡山の水辺は最適化されていないのではないか?岡山で暮らすみんながハッピーになる水辺とは?そこで第2部では、いま岡山で一番水辺を『面白くしているひと』と『面白がっているひと』を壇上にお呼びし、岡山の水辺の最適化をしていこうと思います!

清水孝一(Koichi  Shimizu)   
岡山市中心部で開業内科医をしながら40企業、50事業所以上の産業医として活動。広いコネクションを生かして4年前に表町南部で産官学による巨大イベントを成功させ、木下サーカスとのコラボイベントなどを実現。その実績から備前岡山京橋朝市二代目実行委員長を任される。また今年より後楽園岡山城カヌー駅伝の主要役員になり水辺の活用に積極的に取り組んでいる。

プリチャード ケイレブ(Peichard Caleb Sylve)
アメリカ・オレゴン州出身。あの名ドラマ「オレゴンから愛」の舞台の近くの森の中で育つ(アラスカに住んでいたこともあり)。高校教師だった母の影響もあり、教えることに興味があり、大学教員になる。自然も好きだが都会も大好き。仕事や旅行でこれまでに訪れた国は50カ国以上。

とにかく、どんな川にしたいのかを「話す」ことが大事

いま岡山でもっとも「水辺」への実行力のあるお二人にご登場いただき、具体的な「岡山らしい水辺活用」についてディスカッションがはじまります。

久山さん「絵面がさらに濃くなりましたね(笑)。まずお一人目は、今回のイベント告知で『水遊び実践者』と書かせていただいたケイレブ・プリチャードさんです。

ポートランド出身のアメリカ人でありながら、彼は、岡山市民のなかでもっとも、岡山の水辺を使い倒しているひとだと思っています。今回、いろいろ教えてもらおうと思い、お呼びしました。」

ケイレブさん「よろしくお願いします!私は現在、岡山大学の准教授なんですが、これまで東京、ポートランド(アメリカ)、ソウル(韓国)、神戸西宮、横浜、逗子などさまざまなまちに住んできましたが、岡山はほんとうに素晴らしくて、家も購入しました。」

岩本さん「ワールドワイドな視点からも岡山っていいところなんですね。」

ケイレブさん「西川緑道公園あたりや特に岡山城周辺、すごくいいところだと思います。

あと、旭川を渡って、対岸にビーチみたいになってるとこがありまして、我が家はそこでいつも遊んでいます。僕はカヌーに乗ってお昼寝したり。」

真ん中のカヌーがケイレブさん。

久山さん「私もよく見かけたことがあって、『ケイレブが流されてる』って心配しています(笑)。」

ケイレブ「岡山城周辺でジョギングもよくしていますよ。特に夕焼けがすごく綺麗な場所です。85歳になっても毎日散歩しようと思っています(笑)。」

久山さん「そしてプリチャード家といえば」

ケイレブ「マチナカで焚き火ですか?国交省岡山河川事務所が管轄してる河川敷は焚き火OK!ルールを確認して焚き火を楽しんでます。」

ケイレブさんのご家族。京橋付近の水辺にて。一級河川では水辺から2メートル以内で、直火でなければ、焚き火などをすることが許可されている。

けれど、ケイレブさんは、旭川で自分以外が焚き火をしているのをあまりみたことがないそう。日本人には「焚き火なんてやったら怒られるかも」「誰もやっていないから」など心的ハードルが高いのかもしれません。

岡山の水辺を楽しみまくっているケイレブさんですが「改善すべきところもある」といいます。

ケイレブさん「日本の川の素晴らしさは、水辺に自然がたくさんあることだと思っていますが、旭川は石山公園から少し南に行くと自然がない水辺になります。ほぼコンクリートです。

ポートランドにも、旭川のようにまちの中心部分を流れるウィラメット川があり、『トム・マッコール・ウォーターフロントパーク』という公園があります。そこは元々は高速道路が通っていた場所でした。」

ケイレブさん「住民たちが声をあげ、今、すごい素敵な公園になりました。高速道路を廃止して公園にできるんだから、岡山も本気になったらもっと素敵な活用ができると思います。」

久山さん「最近、中島という旭川の中洲のような場所に社会実験によるスケボーパークができました。少しずつですが、観光地以外の水辺を親しむ場所に変える動きはあるんですよ。」

ケイレブさん「もっと大胆にお願いします(笑)!」

京橋周辺の中島にで社会実験中のスケボーパーク。

岩本さん「水辺って岡山の人たちにとって特別な場所じゃないですか。そんな大好きで特別な場所をどういう風にするのかっていうのを『みんなで話す』ことが、とっても重要なことじゃないですかね。」

久山さん「市民の力みたいなものを集めるのが大事ですよね。」

岩本さん「市民の意志の可視化です。皆さんにどんな意志があるかっていうことが実際まちを運営していく行政の人たちにとって、大切なところなので。」

久山さん「私は、岡山って市民が『こんなふうに暮らしたい』という意思が力強いと思ってるんですよ。こういう会を開こうと思うのは、必ず市民が動けるまちだと信じているからです。」

岡山人の楽しみ力で盛り上がる水辺「京橋朝市」の底力

久山さん「そんな動きを象徴しているなと感じるのが『京橋朝市』です。岡山イチの集客力を誇る、旭川で行われる朝市です。そんな『京橋朝市』を引っ張っているニューリーダー、清水先生に、そんな市民のちからみたいなところも伺いたいですね。」

清水さん「皆さんこんにちは。私は『京橋朝市』実行委員長の清水と申します。

さっき、ケイレブさんが『川の上で寝ている』っていう話をされとったんですけど、昨日の夜、僕、ここでも川の上で寝てました(笑)。」

久山さん「みんな川の上で寝るね(笑)」

清水さん「京橋朝市のイベントの試運転で、夜カヌーを浮かべて空を見上げていたら、完全に寝てしまいました。すごく気持ちよかったです。川面に近いところから岡山城や岡山後楽園を見て欲しいですね。すごく穏やかです。

あんまり夜に川に浮かぶのはおすすめはできませんが(笑)、本当に気持ち良いので、夜は複数人でイベント的にやりたい気がします。」

久山さん「京橋朝市は、飲食店の出店やお買い物のほかにも水辺を親しむイベントをよくやています。」

毎月大盛況の京橋朝市。

清水さん「京橋朝市は今年で35周年を迎えます。市民の皆さんに可愛がっていただいて、旭川の賑いをつくってきました。

今は、旭川周辺の地元の人たちで構成された実行委員会を行っています。僕がいいなぁと思っているのは京橋朝市の実行委員って、90代から10代までいるんですよ。古き良きを知る世代の方々が地元を愛してくださるっていうのが本当にありがたくて、その姿を若者が見る。そしてみんな仲良し。これが朝市がずっと続いている大きな要因のひとつです。」

岩本さん「来場者も大事ですけど、やっぱり実行委員がちゃんと意思をもっているマルシェはいいですね」

久山さん「京橋朝市は本当に岡山市民に愛されていて、来場者のピークは朝7時前。おどろくほどの人手です。岡山人の楽しみ力っていうのはすごい高いんですよ。面白そうなことには顔を出してみるっていう。」

岩本さん「京橋朝市は、通常の朝市と水辺に親しむアクティビティの2本柱だと聞きました。僕が関わっているプロジェクトで『海床ロボット』という、浮かぶ床、動く床のような面白いシステムがあるんですけど、京橋朝市にいかがですか。」

日本中の海辺を賑やかにしている都市型自動運転船「海床ロボット」。

岩本さん「これって船舶免許がいらないので、旭川にこのロボットを浮かべて水辺でぷかぷか浮きながらご飯食べられるとか、お店自体が浮かんでいるとか、そういう新しい水辺を体験できる場を率先して用意できたら、またイノベーションが起こりそうですね。」

久山さん「こういうアイデアの持ち寄りも含めて、やりたいっていう気持ちは市民から発信していかなきゃいけなくて。どう実現させるかってことを考えていくなかで、ひとりで全部やんなきゃいけないかって思うと心折れるじゃないですか。

でも、手伝ってくれる人って絶対いるんですよ。できることが持ち寄れるようにこうやって意見を述べ合う場は持ち続けなきゃって。」

岩本さん「ほんとそれです。あと、水辺や川の基本的な知識もどんどん共有していくのがおすすめですよ。さっきケイレブさんが言った、国土交通省管轄の川は制限があるけれど焚き火ができる、とか」

アサイ「推しのことを知るってことですね。」

久山さん「水辺を推しにするってことですかね。推し活(笑)。」

岩本さん「そうそう。やりたいこと、やれることを持ち寄っていくに、水辺の管理側のひとが『こういうルールがありますから、こうやりましょう』って提案してくれたりしますから。」

岡山らしい水辺を獲得していくこと

清水さん「水辺を豊かにしていくってみんなの夢ですよね。石山公園から少し南にくだった京橋周辺は、昔、木下サーカスの興行など起こっていて、楽しみの集積地でした。花火大会もあそこでやってましたね。大きいイベントといえば、岡山は水辺でした。

今じゃすっかり草原地帯になってしまったので、ほとんど活用していません。スケボーパークを皮切りに、あの辺が水辺を盛り上げる中心地になっていくのかも。楽しみですね。」

岩本さん「素晴らしい。そういうまちづくりを、みんなで一緒にやっていきましょうっていうルールがありまして、国土交通省が旗振り役をしている『かわまちづくり支援制度』です。

今まで川になにかをつくったり、行ったりする計画って河川管理者さんの仕事でした。けれど、このまちを良くしていくために『川はこういう風になってなきゃいけない』とか市民にも思いがあるじゃないですか。

その思いをテーブルに広げて、みんなで協議会を作って各ステークホルダーがやれることを持ち寄って、役割を決めていくっていう制度ができました。」

久山さん「岡山のかわまちづくりに僕らも切り込みたいですね。」

岩本さん「僕がかわまちづくりをお手伝いしてる色々な自治体でも、若い人たちの意見をどう反映させるかって、めちゃめちゃ課題になっているんですよ。

あと、僕がずっと言っているのは、何か新しい大きな投資をするときって、いきなり投資するんじゃなくて、それが本当に見合ってるかどうかを検証しなきゃいけないじゃないですか。

だから、社会実験って絶対必要なんですよ。『このまちにあったらいい理由』を浮き彫りにするために。」

久山さん「道筋が見えました。見えた!!」

岩本さん「2011年に横浜市のまちづくりの勉強部会みたいのがあって、僕は水辺が好きで入ったんですけど、もっと普通の人たちが、自発的に活動できる水辺を作るべきだとお話したんですね。

水辺は今まで、行政など大きな組織が作るものだとみなさん思っていませんでしたか?だから、競争原理が水辺で働きません。その結果、面白いコンテンツがなかなか生まれないって構造があると。

自由な使い方が模索されるようになると、新しい時代に即したものが生まれる可能性が出てきて、それが新しい都市魅力になる可能性がある。つまり、『普通の人たち』がどう水辺にコミットするかっていうのが、水辺の魅力活性化にとっても重要なことなんです。」

久山さん「八百万の神様が統合されて、日本の国が出来上がったみたいな話がありますから、みんなでやるのは日本にあってますね!」

アサイ「ここでまさかの宮司らしさ!!(笑)」

アフターは「水辺で乾杯」ということで、Kagiyama gallery barの日本酒やKawazu brewingのビールで乾杯!
ボートからのアンビエント音楽の演奏も。

岩本さん「本当にそういう風土だと思うんです、僕たちの国は。川があって、その川のそばの営みで大きくなった。水との付き合い、この風土との付き合いができて、いまのこの場所じゃないですか。

次世代に向けて、この場所ならではの魅力を創り出す。めちゃくちゃワクワクしませんか?」

久山さん「みんなでやろう。」

岩本さん「それです。みんなの場所は、みんなでつくる。

そして、水辺への個人的な気持ちとか自分しか気づき得ない感覚っていうのは、とても大切にしながら水辺活用を進めてもらうっていうのが僕は岡山らしさを新しく獲得するための1番の近道だということだと思います。」

Text:アサイアサミ(ココホレジャパン)
Photo:宮田サラ(まめくらし)、ココホレジャパン

聞き手:アサイアサミ
社会編集者。東京生まれ東京育ち。出版社の雑誌編集などを経て、2012年岡山へ移住し、地域の魅力を広告する会社「ココホレジャパン」を起業。大企業のマスメディアから自治体・地域企業の広報まで、ミクロとマクロを縦横無尽に横断しながら社会をより良くするための斬新でユニークでハッピーなコミュニケーションを編集。現在、竹中工務店とコラボレーションして木のまちをつくるプロジェクト「キノマチウェブ」や都市型自動運転船「海床ロボット」コンソーシアム、瀬戸内海のゴミを減らすために岡山のまちを楽しくする「どんぶらこリサーチ」などを展開中。


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