第4回:表町商店街の玄関口はエンタメで新時代を切り開く「表町1丁目」
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第4回:表町商店街の玄関口はエンタメで新時代を切り開く「表町1丁目」

まちを愛するひとのインタビュー その4
『koka』・三宅直人さん

表町1丁目は「北表町商店街」とも呼ばれ、上之町商店街、中之町商店街、オランダ通り商店街を有し、誰もが思い浮かべる「商店街」の風景に近い、商人のまちです。

ちなみに「表町商店街」とは、北から、上之町、中之町、下之町、栄町、紙屋町、千日前、千日前商店街と交差して西大寺町、さらに西に新西大寺町。この8つの商店街の総称です。

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買い物客で賑わう中之町商店街(表町商店街webサイトより)

表町2丁目、3丁目に比べ、「商店街として何ができるのか」と、ずっと向き合い続けてきた印象のある表町の玄関口が表町1丁目。今回は、商店街にフォーカスをあてて、まちの魅力を探っていこうと思います。

お話をお伺いするのはオランダ通りの洋服屋さん『koka』の三宅直人さん。メインはアパレルショップ経営をしていますが、現在、中之町商店街の副理事としてまちの活性化に尽力されています。

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三宅直人(Naoto Miyake)
オランダ通りにあるセレクトショップ「koka」の店主。30数年前より表町商店街のアパレルで働き、長きに渡り、表町商店街を見守ってきた。現在、中之町商店街の理事をつとめ、まちづくりに尽力。Youtubeチャンネル『表町TV』では「岡山まる子」という芸名で出演中。
(撮影:ココホレジャパン)

このまちに恩返しをしたい

三宅さんが表町1丁目で働きはじめたのは30数年前。ここでずっと表町の変化を見守ってきたといいます。表町が栄華を極めていたのはもう半世紀近く前のこと。400年続く商人のまちが衰退していくさまを体験している貴重なプレイヤーです。

三宅さん「私が高校生の頃は、南側の表町2丁目3丁目のほうが盛りあがっていた印象です。千日前に映画館がいっぱいあったので、映画を見て、夜はカフェに行ったり。
表町1丁目で働きはじめた頃は、まだ昭和のバブル時代で、華やかでにぎやかでした。空き店舗がほとんどなく、どのテナントも賑わっていて、ここに来たらなんでもあるようなまちでした。」

バブルが崩壊した平成の世で、表町商店街は駅から遠い南側から徐々に空き店舗が目立つように。表町1丁目は1991年にコンサートホール『岡山シンフォニーホール』が出来たことで一時期は衰退を食い止めたように見えましたが、近年、表町1丁目にも空き店舗が出るようになります。

ちょうど、駅前のイオンモール岡山が開店した頃(2014年)とかぶります。

このまま表町商店街は、その役割を終えるのか。その危機感は三宅さんを突き動かします。

三宅さん「なにかこのまちに恩返しをしたいという気持ちが湧いてきました。そこで、中之町商店街の青年部長を引き受けました。
具体的にこのまちでなにができるのか考えたとき、自分が好きな、エンタメを通じて、まちを盛りあげられないかなぁと試行錯誤をはじめました。」

こうして、三宅さんは中之町商店街にある建物の地下にレンタルスペース『表町シェルター』をつくります。ライブや漫才ライブ、イベントなどが行えます。音響施設なども充実しており、子どもたちに楽器を教えるなどもしているそう。

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商店街の路地にある『表町シェルター』。隠れ家的でワクワクします。(提供:三宅直人)

エンターテイメントを生み出す場所を表町商店街につくったのは三宅さんが若かりし頃、表町で遊んでいたときの記憶から。カタチがなくなっても、表町のひとの心には、ここから発信された文化が根付いていたのです。

また三宅さんの素敵なところは、場をつくるだけでなく、『表町エンターテイメント』というイベント&芸能プロダクションも立ち上げたこと。シェルター(ハード)を回していくための、エンターテイメント(ソフト)も、場をつくったひとが責任をもつということです。

三宅さん「元は、お笑いやライブが気軽に見られるスペースが表町で欲しいよねってところからつくりました。
お笑いも音楽も好きですし、音楽をやりたい若者が表現できる場があればいいなと。僕もそうでしたが、楽しい体験はずっと心に残っていくので、表町商店街が楽しい場になればここもずっと残っていくんだと願っています」

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コロナ前は頻繁に行われていたお笑いライブ。(提供:三宅直人)

まちづくりの一環としてはじめたことですが「ほしい」と思ったらすぐに設えることができるのは、余白ができたまちならではの利点だと思いました。

アイデアとやる気があれば商店街に新たな機能が備わっていく。岡山随一の繁華街も、変わりはじめています。

商店街は誰のものなのかを問いかける

新たな場をつくるだけでなく、商店街そのものの賑わいもつくっていきたい。商店街は「商店」のまちですから。

表町のお店情報を発信するYoutubeチャンネル『表町TV』は、SNSやWebを駆使して、表町商店街をメディアとして全世界へ発信しています。
三宅さんも「岡山まる子」という芸名で出演中です。髪型……?!

そして三宅さんがいま一番続けていきたい活動は、昨年12月に行われた『岡山クリスマスマーケット2020』。

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半屋外の商店街のアーケードをフル活用して行われた「岡山クリスマスマーケット2020」(提供:三宅直人)

三宅さん 「『Go to 商店街』の一環として、クリスマスマーケットを行いました。僕はステージを担当しまして、『表町エンターテイメント』に所属しているタレントなども盛りあげてくれました。コロナ禍にもかかわらず盛況でありがたかったです。商店街はただでさえ不況なのに、コロナによってさらに危機的状況になりました。売上が稼げるワゴンセールも中止で。
このマーケットでは、感染症対策を充分にやって、密にならないよう商店街をフル活用しました。来年以降も続けていけたらいいなぁと思います。」

商店街という、屋根付きの半屋外パブリックスペースがあるからこそ実現したこのイベントは、不況に喘ぐ商店と、集まれない寂しさを抱えた岡山市民を新しい生活様式の元、ゆるやかにつなげました。

コロナウイルスによって世の中が一変していくなか、商店街の課題があぶり出され、そこには厳しい現実もありました。同時に、これからの商店街に求められるものが見えてきたことも事実です。

「空き店舗が増えた」、「売上が減った」、「お客さんが来ない」など、商店街自体の問題を解決することが、本当に表町商店街の最解答になりうるのでしょうか。商店街は、誰のためのものなのか、いま、考えるときなのかもしれません。

そして、表町の灯を絶やさないための三宅さんたちの挑戦は、このことを、私たち市民に問いかけているような気がします。

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クリスマスイルミネーションに彩られた商店街。(提供:三宅直人)

三宅直人さんおすすめマチナカスポット

koka
表町1-9−49
スタンダードでありながらトレンドをおさえた婦人服と紳士服を扱うセレクトショップ。日常着からハレの日のおしゃれまで揃うことで人気のお店。気さくな店員さんのお見立てのやりとりも楽しみのひとつ。
表町シェルター
表町1-10-28
防音の部屋で音楽ライブやバンド練習、レコーディングに最適な、天満屋斜め向かいのビル地下1階のレンタルスペース。キャパ数は30名と秘密基地にもってこいの場所。

聞き手:アサイアサミ
東京都出身。大学在学中、宝島社入社。雑誌編集者を経てタワーレコードのフリーペーパー「TOWER」の編集長を5年間務める。その後フリーランスを経て、2012年岡山県へ移住し、広告会社ココホレジャパンを設立。移住情報誌TURNS副編集長などを歴任し、地方地域、環境問題、ライフスタイルなどのジャンルを得意とする編集者として岡山で楽しく暮らしています。

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